ふいに友達から言われた言葉。
ドキっとするような言葉かもしれないけれど、僕とその子の関係上、ドキっとするようなニュアンスにはならないし、その後の展開も期待出来ない。(もちろんお互いそう思ってる)
僕はその子から、そんな言葉が出て来ることは予想外の事だったし、どういう反応をしていいのか、まったくわからなかった。その時、僕は先を急いでいて、ゆっくり話すことが出来なかったから、曖昧な返事でその場所を切り抜けたような気がする。はっきりと憶えてないのは、その言葉だけが頭の中で反復していたからかもしれない。
人は人と接する時、様々なフィルターを通して会話をしたり、目と目を合わせたり、握手をしたり、無意識のうちに自分を作っている。もちろんそうすることが悪いことじゃないと思う。なりたい自分になるために、自分をプロデュースする。当たり前のことだ。
けれど素直に、人恋しい、と一言、口に出来る素直さも必要なのではないか。
あの時の透明な一言が今でも僕の心に残っている。
ふとした瞬間に頬の筋肉が和らぎ、自転車のペダルを踏む足に力が入ったり、浮き足立つように帰り道を急いだりさせる。
その度にそんな一言を素直に言える気持ちをいつまでも忘れないで欲しいと思う。
いつか書きたいと思っていたこと。こんな目に見えない雨の帰り道。僕はまたペダルを強く踏んであの一言を思い出した。
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